江東区の無電柱化の状況と見込み(電信柱は無くなるのか)

無電柱化って、メリット・デメリットとか、工法の説明とかよく見かけるんですが、私が知りたいのは「どこがいつ無電柱化されるか?」なんですよね。

国道、都道、区道とあるので、国の説明、都の説明、区の説明が別々にあり状況がなかなか分かりにくいです。ということで、湾岸というよりも江東区という視点でまとめていきたいと思います。

2021/7/10 (とにかく結論が知りたい方向けに)追記

この記事ではまず江東区内の国道と都道はほぼ無電柱化されていると言える理由を国道・都道の順で考察しております。

江東区に関しては、国道と都道が無電柱化されているのであれば、今後は区道だけ見ればいいということになります。ということで、とにかくどこが無電柱化されるか知りたい方は、国道と都道は飛ばして江東区内の区道の無電柱化(←これで飛びます)に飛んでいただければと思います。

江東区内の国道はすべて無電柱化されていると言える

江東区を通る国道は京葉道路と湾岸道路の2本のようです。

平成26年の東京都の資料によれば、ずいぶん前にお台場付近の一部湾岸道路を除いて江東区内の国道はすべて無電柱化されているように見えます。

グレーのラインが無電柱化された国道。お台場付近(左下)や江戸川区内の京葉道路に(右上)見える紫が無電柱化されていない国道と思われます。

国道の無電柱化状況

なお、お台場付近のほんのちょっと無電柱化されていない区間というのは、港区と江東区の境だと思うのですが、どちらの区の資料でも考察の対象外の場所になっていました。
しょうがないのでストリートビューで該当部分を見てみると、電柱はないように見えます。

資料も6年前のものですし、現時点では江東区内の国道はすべて無電柱化されていると言って大丈夫かと思います。

江東区内の都道もほぼ無電柱化されていると言える

都道に関しては、まず今年(2021年)の6月に東京都無電柱化計画(改定)が発表されています。

この中で、以下のような記載があります。

センター・コアエリア内整備対象の都道についてはほぼ終わったと。

まずセンター・コア・エリアとは「首都高速道路中央環状線(C2)内側の地域」とのことで、以下の青色で囲われた地域のことになるため、江東区は全面的に含まれます。

センターコアエリア

次に整備対象の都道が何を指すのか?

注釈を見ると、歩道の幅が2.5m以上の都道のことのようです。

つまり、江東区内の歩道の幅が2.5m以上ある都道については無電柱化されたということになります。しかし、2.5m未満の都道がどれだけあるのかが分かりません。

そこでまず歩道の幅が2.5m以上ある都道の長さを調べてみます。平成30年(2018年)の東京都の計画資料を見てみると以下のような記載があります。

都道の地中化
東京都資料より

この資料でも、センター・コア・エリア内はほぼ地中化された(96%)と書かれていますが、注目すべきは全体の長さに関しての記載です。整備対象、つまり2.5m以上の歩道の幅がある都道はトータル2,328kmであるということになります。

次に都道の全体の長さを調べてみます。以下は、東京都建設局の説明ですが、歩道の幅とか整備対象とか関係なく、「都道の長さは2,371km」と書かれています。

都道の長さ
東京都資料より

この数字の比較から、ほとんどの都道が歩道の幅2.5m以上であることが分かります。

以上のことから、センター・コア・エリア内である江東区に関しては、国道に続き都道についてもほぼ無電柱化(地中化)されていると言ってよいかと思います。

とはいえ、全然無電柱化が進んでいないというのが世間の常識ですよね。国道・都道以外に問題があるということです。

江東区内の区道の無電柱化

実は道路の90%は市区町村道&無電柱化対象外(幅2.5m未満)

国道と都道はほぼ無電柱化されているということで、最後に区道です。

以下は東京都の計画資料内のデータです。江東区に限らずの都全体の数字ですが、市区町村道の方が圧倒的に多く90%を占め、更にそのほとんど(94%)が歩道の幅が狭い(2.5m未満)道路ということが分かります。

東京都資料より

つまり我々の周りにある道路のほとんどが区道で、区道というのはほとんどが無電柱化の対象にならない狭さ(幅2.5m未満)ということになります。

そんな理由もあって都全体の無電柱化率は数%しかないということになっています。

このデータ自体は2014年のものですが、2021年6月に都が資料として使っているものなので、あまり変わっていないということでしょう。

江東区の区道は他よりは多少無電柱化されている

上記は東京都全体のデータですが、江東区はオリンピックの影響で他の区市町村よりも区道の無電柱化が”多少”進んでいます。以下は江東区の去年の資料ですが、区道の無電柱化率は7.2%ということです。ホントに多少は…ですかね。

江東区道の無電柱化
江東区資料より

そして、以下が江東区が現在発表している無電柱化の現況図です。

江東区資料より

黒い線は国道と都道なので、前述の通りほぼ無電柱化されていると言っていいはずです。

青い線が、区道で無電柱化が終わった部分、青い点線と茶色の点線が事業中ということになります。この青線と青点線と茶点線の合計で7.2%ということになるかと思います。

豊洲・有明方面は確かにオリンピックの影響で他よりも無電柱化されているのでしょうけど、意外とこの地域でも部分的という印象を受けます。

江東区の区道の今後

最大の問題、ここからどれだけ無電柱化は進むのか。

以下は江東区の計画です。

緑の線は前述の事業中(作業中)の道路です。

青の線が優先整備道路(これからやります)、オレンジは計画路線(やろうかなと思ってる)道路です。

以下は、青色の線の優先整備路線についての詳細計画です。

江東区区道の優先整備路線
江東区資料より

これを見ると、青色の線の優先整備道路であっても、これから9年後の完了を目指しており、しかも6路線中3路線は着手時期未定です。

やろうかなと思っているオレンジの計画路線についてはこの先ということになり、更に計画路線でもない道路、つまり色のついていない道路は、少々絶望的な気持ちにならざるを得ません(政治的な事情で計画が前倒しになる可能性はあるとは思いますが)。

念のため、江東区無電柱化推進計画の策定ページ内の関連ファイルというところを見ていくと、別途整備対象路線というものもありまして、見てみると前述の計画路線とは違う、整備対象路線というものが出てきます。

名前的に言って歩道の幅が2.5m以上ある区道か、2.5m以上にできる可能性のある区道なのではないかと予想しています。

江東区整備対象路線

赤い線が整備対象路線で、一部先ほど見たオレンジの計画路線と被っていますが、それよりもたくさんの道路が赤い線で表示されています。

例えば南部地区に絞って見比べると以下のようになります。左が整備対象路線で、右が上の方で見ていた計画路線です。

豊洲4丁目の豊洲小学校前の交差点がある道路と、東雲のイオンの北側の道路、辰巳の建て替えやってるあたりの道路が新たに赤く表示されています。

オレンジの計画路線であっても遠い話でしょうけども、一応この赤い整備対象路線(やろうと思えばやれる)までは期待してよいのかなと思いました。この赤い整備対象区道は全区道の30%強になります。

優先路線 ⇒ 計画路線 ⇒ 整備対象路線(計画路線を除く)

このような順で進むと思われますが、現状はなかなか期待薄という感じでしょうか。

今後何らかの力で早まる可能性もありますし、ひとまず現状での計画の把握ということでまとめ終わりたいと思います。

  • 江東区内の国道と都道はほぼ無電柱化されている
  • 江東区内の区道のうち7.2%は無電柱化されている
  • 国道と都道は全体の約10%なので、江東区全体の16%程度が無電柱化されていると言える(かな)
  • 歩道の幅が2.5m以上ないと整備対象路線にならず無電柱化されない(今の技術では)
  • 江東区の整備対象路線(いつかやりたいまで含む)でも全体の30%しかないので、遠い未来でも50%程度までしか無電柱化されないのではないかと思われる
  • いま事業中の路線も結構少ないので、何か起きない限り(政治的なことか技術的なこと)10年経っても大して進まないと思われる

1 COMMENT

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です